きゅうかくうしお

素晴らしい偶然をつないで

2023.5.4-5.6
@人宿町 in ストレンジシード静岡2023
Background
Overview
Report

Information

2023.9.9 レポート公開。
2023.5.4 SSS開幕。観客のみなさまと作り上げる作品のため内容は常に変化いたします。
2023.4.29 ページ公開。作品情報は順次更新します。

Background

「KU的醸すin城崎」について

「素晴らしい偶然をつないで」のインストラクション(指示書)である「KU的醸すin城崎」は、きゅうかくうしおメンバーが個々に「醸す」について思考・創作した多様な作品を配置し体験できるとともに、その作品の間を駆けるパフォーマンスが個々をつなげる空間作品。

集団として行き詰まりを感じていた我々きゅうかくうしおが、この集団の実態を自ら理解するために、2022年1〜2月、城崎国際アートセンターでの滞在制作にてリサーチとクリエーションを重ねた。

城崎での探究を「KU的醸すin城崎」という作品に昇華させた結果きゅうかくうしおが共有できた発見は、集団として、コミュニティとして、我々が「待つ」こと「受け入れる」ことの意味を知ったということなのではないか、という考察に至った。他者の主張や考えをどのように受け入れ、取り込み、コミュニティを形成するに至るを見届けるのか、あるいは誘(いざな)ってくのか。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で城崎での上演が中止となったこのインスタレーション・パフォーマンス作品を、 インストラクションの販売という形で発表し、インストール先の受付を開始した。

「KU的醸すin城崎」の詳細はこちら▶︎

Overview

「素晴らしい偶然をつないで」

会場:静岡県静岡市人宿町  / ストレンジシード静岡2023
期間:2023年5月4日(木・祝)〜5月6日(土)
   展示 15:00〜21:00 パフォーマンス 16:00・19:00から各回約40分
企画・出演:きゅうかくうしお
   石橋穂乃香(ほのちゃん)、河内崇(舞台監督)、辻󠄀本知彦(踊り子)、藤谷香子(衣裳)、
   松澤聰(映像)、森山未來(踊り子)、矢野純子(宣伝美術)、吉枝康幸(照明)
協力:
salta、秋山実優、神田麻依子、神田陽南乃、しばたさとみ、中村天太、宮﨑茉衣、山田ミカ
特別協力:創造舎
主催:ストレンジシード静岡

目的

「KU的醸すin城崎」を静岡市人宿町にインストールする

集団として生きていくために必要な「受け入れる」「待つ」という視点・手段をキーワードに、自己受容と他者受容の先に生まれる集団の在り方を体験型作品を介して観客へ問いかけ、集団や地域の持続可能性を考えるきっかけをつくる。

詳細

「KU的醸すin城崎」を指示書とし静岡県静岡市人宿町へインストールする、観客参加型のインスタレーションパフォーマンス。初のインストール先となる今回の会場「人宿町(ひとやどちょう)」は、旧東海道の宿場町として昔から栄えていたその歴史や人情を大切にしながら、未来に向けて変わり続ける町。人宿町について詳しくはこちら▶︎

この町に何かを感じたきゅうかくうしおが、人宿町という土壌を分解し、そこに訪れる”奇妙な種”として蒔かれる観客がどのように人宿町で発芽するのか。3日間の会期中、訪れる皆さまとともに作品をつくりあげる。

「自分の中で燻っている物語を書き出す」「丁寧に行為を積み重ねる」「加工された誰かの不用品を展示する」等の観客と共創するインスタレーション作品と、展示エリアでのパフォーマンスを上演する、ストリートシアターフェス「ストレンジシード静岡2023」参加作品。

Report

インスタレーション
1)もやもやしていることを吐き出す @創造舎1F駐車場

■分解のプロセス(松澤聰)
…いくつかのお題に答えてください。インタビュー映像は倉庫内に設置したTVで放映します。

■納豆に湯気(村松薫)
…あなたの中でくすぶって停滞している個人的な物語を付箋に書いて club BUNKAI に持っていって下さい。音声に変えて発酵させます。

2)対話して悩みを混ぜる @人宿酒店

■FUHAI? No, UMAMI!(石橋穂乃香)
…あなたの悩みの種をほのちゃんに話してみるお悩み相談酒場。一緒に飲みながらみんなで混ぜれば、FUHAI(悩み)もUMAMIに見えてくるかも。

3)不要物を託して行為を追体験する @和みカフェ下倉庫

■「時」と「場」を整えるための小さな行為の積み重ね(森山未來)
…持参した「不用品」を収めた後、ゆっくりと発酵するのを待つように、指示書に書かれた行為を丁寧に実行してください。

■ブティック顕微鏡(藤谷香子)
…行為の中で使用する不用品にきゅうかくうしおが手を加え、新たな装いに再構築します。行為終了後に渡す「加工された誰かの不用品」を club BUNKAI へ運んで展示してください。

4)誰かの言葉や不用品と混ざり合う @空きテナント

■club BUNKAI(矢野純子)
…「納豆に湯気」のブースで書いた停滞した物語のふせんをDJに渡すと音声に変換して空間内で繰り返される四つ打ちビートに重ねます。聴いたり観たり踊ったり、周りを気にせず自由にお過ごしください。

■まなざし(河内崇)
…この場所に持ってくるように指示された不用品オブジェを、点在する砂の上に飾ってください。

■にぎわい(吉枝康幸)
…分解され分解する存在である自分の身体を意識しながらターンテーブルに乗って、積まれた不用品オブジェと自分の影を重ねてみてください。


パフォーマンス

■野生の菌(辻本知彦)
…人宿町に点在するインスタレーションスポットに舞い降りる野生の菌(踊り子)が町を徘徊する即興パフォーマンス。
きゅうかくうしおメンバーが観客を巻き込みながら全員で手をつなぎうごめき前進し続ける「手つなぎ散歩」では、地元の人々やSSSに訪れた観光客らが、きゅうかくうしおを媒介として大いに混ざり合います。

Contact

本作品に関するお問合せや作品展開の依頼は下記の「CONTACT」よりご連絡ください。
「KU的醸すin城崎」をインストラクションとして、
それぞれの場所に合わせた展開とインストールをきゅうかくうしおが行います。

Contact

Map & Outline

配布マップPDFはこちら

作品公開 15:00〜21:00
辻本知彦「野生の菌」パフォーマンス 19:00〜19:30

展示会場で作品を体験した証に、オリジナルステッカー(全3種)を配布します。
3種集めるときゅうかくうしおのトモダチ証明書に。
ステッカーは数量限定につき、なくなり次第配布終了いたします。

※作品内容は予告なく変更となる場合があります。

やどりぎ座

■野生の菌…人宿町に舞い降りる野生の菌は、ここから町を徘徊する予定です。パフォーマンスは19:00から。

やどりぎ座エントランス階段前にて「きゅうかくうしお作品マップ」の配布も行っています。

《ステッカー配布場所》
和みカフェ下倉庫 

■「時」と「場」を整えるための小さな行為の積み重ね…ゆっくりと発酵するのを待つように、指示書に書かれた行為を丁寧に実行してください。
■ブティック顕微鏡…加工された不用品を持って次のブースへ移動してください。

《ステッカー配布場所》
人宿町マート内「人宿酒店」

■FUHAI? No, UMAMI!…あなたの悩みの種をほのちゃんに話してみてください。一緒に飲みながらみんなで混ぜれば、FUHAI(悩み)もUMAMIに変わるかも?
※お悩み相談は人宿酒店内で実施につき1ドリンクオーダー制です

《ステッカー配布場所》
創造舎1F駐車場  

■分解のプロセス…いくつかのお題に答えてください。インタビュー映像は倉庫内に設置したTVで放映します。
■納豆に湯気…あなたの中でくすぶって停滞している個人的な物語を付箋に書いて貼ってください。club BUNKAIにて音声に変えて発酵させます。

《ステッカー配布場所》
空きテナント(元ジム)  

■club BUNKAI…聴いたり観たり踊ったり、周りを気にせずお好きにお過ごしください。停滞した物語(白いふせん)はここでDJに渡してください。ことばを音声に変換してビートに重ねます。
■にぎわい…分解され分解する存在である自分の身体を意識しながら、積まれた不用品と自分の影を重ねてみてください。
■まなざし…加工された不用品を砂の上に置いてください。不用品は和みカフェ下倉庫の作品を体験すると運ぶように指示されます。

野生の菌

辻󠄀本知彦(踊り子)

近年の発酵食品(酒、味噌、醤油など)は純粋培養され、 他の菌が入らないように保存された単一の菌を増殖させ、それら用いて発酵させる。
その分抵抗力が弱く、他の菌に侵食されやすい脆い存在だ。
しかし本来は、大気中に自然に浮遊している様々な種類の野生の菌たちが各々適正の場を選ぶことにより、 それぞれの発酵は促されていく。それによって発酵した食品は腐りづらいという。
しかしながら、現代の人間世界ではそんな野生の菌が生息できる場所は非常に限られている。 正しく整えられたその「場」には、いつしか野生の菌がふわりと舞い降りるかもしれない。

club BUNKAI

矢野純子(宣伝美術)

分解すれば、分かる(解る)。
個に分けることで、他との関係性やその場が見えてくる。
集団は分解され個人に、宇宙は分解され原子に。
「繰り返す音」と「分解される映像」を酵素として、この空間を分解してみる。
身体に届く振動は、自身と自分以外を切り離し、意識の奥底に潜り込む。
と同時に、空中に広がる振動は、人を繋ぐ媒介にもなる。
聴く、踊る、見る、居る、帰る、、、今は自由にお過ごしください。
醸されるかどうかは、分けた後のお話。

納豆に湯気

村松薫(制作)

発酵と腐敗の境界線というものについて考える。
「これは腐ってしまっているのだろうか」と思うものがあった。しかし自然界における現象が「腐敗」であるか「発酵」であるかを決めるのは、ただ人間にとって有益であるかどうかのみで判断され、そこに明確な線引きはないという。だとすれば、物事の考え方次第で、それが腐敗ではなく発酵であると捉え直すことができるのではないか。私たちもうまく発酵すればきっといつかあの温泉のような湯気が立ち込めるはずなのだ。 この作品は、1人の人間が腐敗した気持ちを発酵に転換するまで書かれ続ける終わりなき記録である。

ブティック顕微鏡

藤谷香子(衣裳)

きゅうかくうしおを顕微鏡で個々を観察。
それぞれの活動主題とその方法、それにお似合いの装いを提案。
個体の集合体である集団を個の活動としてみつめてみる。
観察資料からドレスコードを引くことで個々の活動を認識し全体としての活動の活性化を促すことができるのではないか。

まなざし

河内崇(舞台監督)

分解するだけ。
それは生産ではない 屑拾いのまなざし 街が、ゴミで埋もれませんように 1週間、同じ場所で身近に拾った屑を並べる。
いつ、どこで拾ったのか、分類を明らかにする。
色を塗ったり。置き場所を考える。組み合わせは無数に及ぶ。
私が加えたノイズの痕跡によって、物本来が持っていた力とは別のものを加える。
みかんの皮でさえも、10年、100年と人の手を渡った頃に立ち現れるオーラ。
これらの破片を前にして、私たちの生活の形を想像する。
断片が持っている誕生の秘密、どういう目的で生まれたのか。生み出されたのか。
物と私の関係を時間とともに積み重ね、未来に向けた「まなざし」を獲得する。

にぎわい

吉枝康幸(照明)

森に打ち捨てられている枯れた木の枝は一見、すでに死に絶えその役割を終えた物言わぬ物体のように見える。
しかし実際にはその樹皮を虫や菌類が食べることにより、まだまだ生物の循環の中に組み込まれている存在だ。
枯れ木が屹立する荒地に身体を潜り込ませれば、人体がさらに拡張されていくようにも見え、時には身体が枯れ木の一部にも、さらには枯れ木に食らい付く虫や菌類のようにも見える。
波打つ動脈と静脈が行きつ戻りつ、さらなる生を志向していく。
これは動物と植物を巡るエネルギー=発酵そのものを体現することを試みるパフォーミング・アートである。

分解のプロセス

松澤聰(映像)

作家は自分の言葉をこの作品の中に込めない。
代わりに鹿狩りに同行した他の三人に言葉を委ねる。
映像は同じ内容が繰り返される。しかしその度に三人三様の視点、言葉が 介入してくることにより、野生動物と人間の関わり合いに対する考え方が変容していくようだ。 鹿肉を人間同士が分かち合って咀嚼していくように。
その肉が各々の体内に存在する多様な菌によってゆっくりと消化されていくように。
そして、人間によって放置された鹿の死骸が次の日には他の獣たちに委ねられ、人間と動物それぞれが同じ命を分かち合っていくように。
この作品は、鹿狩りのとある一日にひとつの命が人間の思考の中に、あるいは 大自然の循環の中に溶け込んでいく「分解」のプロセスを追ったドキュメンタリーであり、 その志向こそが作家の言葉なのかもしれない。

『時』と『場』を整えるための小さな行為の積み重ね

森山未來(踊り子)

発酵させること、それは関わり合いが持続していくこと。
発酵=関係性の持続には「時」をどう共に過ごしていくかが重要であり、時には「待つ」という忍耐が必要なこともあるだろう。
その「待つ」ことに痛みを伴わせないためには、目の前にある些細な物事を ひとつひとつ丁寧に積み重ねていくことが重要なのではないか。
そんな積み重ねによって整えられた「場」にはやがて、 UMAMIが醸し出されるような関係性が築かれていくことだろう。
この作品は、城崎の2週間で出会ったひと/もの/こと、 そして行為を追体験することによって、「時」と「場」が静かにゆっくりと醸成されゆくことを 志向するインストラクション・アートである。

FUHAI? No,UMAMI!

石橋穂乃香(ほのちゃん)

お味噌は発酵の最中、腐ってしまった部分があってもスプーンで取り除けば良いらしい。
お醤油は発酵の最中、腐ってしまった部分も丁寧に混ぜ込んでしまうらしい。
人間関係も、腐敗してしまっていた時があっても、それをひっくるめて良くなっていってもいいんじゃないか。
その最中にいる時はそうは思えなくても、振り返ったら愛しい思い出が沢山ある。
発酵食品を何年も寝かせて発酵させるように、旨味がジワジワ滲み出てくるように。

混ざれ混ざれメリーゴーランド
もう決して腐らないように

全てが混ざったらほら、何か他のものに見えてきたりもするかもね。